この収入は何所得?【株式編】
この収入は何所得?
株式取引で得た収益・損失
ここでは、株式や投信など投資に関わる収入がどの所得に分類されるか、まずは株式について購入から売却までの流れからみていきたいと思います。株式には所得税法上、①上場株式等、②一般株式等の2つがあります。「株式等」とは、株式だけでなく投信の受益権や社債的受益権、公社債などが含まれています(詳しくはこちらを確認)。これらは別区分の上、他の所得の金額とも区分する「申告分離課税」になります。ここでは証券会社を通じて売買される上場株式が主となると思うので、①上場株式等についてみていきます。
株式を取得する際には証券会社に手数料等を支払うことはありますが、ここでいう所得はまだ生じていません。所有する株式を売却して初めて所得を算定する収入が生じます。株式取引で生じる所得は、譲渡所得に分類されます(他の所得の分類はこちら)。
- 上場株式等に係る譲渡所得等の金額=総収入金額(譲渡価額)-(取得費+委託手数料等)
上場株式の譲渡所得は上の計算式で求めます。取得する際にかかった費用を売却(譲渡)した際に得た収入が上回れば、譲渡益が生じたことになり所得税の課税対象となります。
税率は所得税15%と住民税5%を合わせた20%になります。(現在は復興特別所得税が基準所得税額の2.1%が別途かかります。)
これで基本は確認できました。株式取引で得た収益は譲渡所得に分類されて税率20%でした。
特例:特定口座制度、損益通算、繰越控除
次に特例を確認していきます。
多くの方は特定口座を現在利用しているかと思います。私も基本は特定口座です。
特定口座には①簡易申告口座と②源泉徴収口座の2種類があります。
特定口座では所得(利益と損失)の計算をその口座内で行います。そして1年間の取引については『特定口座年間取引報告書』が証券会社等から発行されます。
- ①簡易申告口座の場合には、源泉徴収が行われていないので、その1年間に取引があれば確定申告をする必要があります。
- ②源泉徴収口座の場合には、すでに税が徴収されているので、確定申告は原則不要となります。
原則というのは、確定申告をすることで受けられる特例が存在するからです。
1つは、上場株式等の他の口座や利子所得、配当所得(申告分離課税の場合)との損益通算です。もう1つは、上場株式等の譲渡損失の最大3年間の繰越控除です。
繰越控除を受けるためには毎年確定申告の際に必要な手続をすることが求められます(詳しくはこちら)。
またNISA口座・ジュニアNISA口座については、配当所得・譲渡所得の非課税措置がなされているので、確定申告は不要です。